私を整える、美の思考｜Vol.17（最終回）エッセンシャル思考を生きる ― 迷わない自分への道

スキンケアを通して「自分らしく整う」ヒントを毎週月曜日にお届けしています。

 長年エステティシャンとして肌と向き合ってきた経験をもとに、

 “考えるスキンケア”を伝えるスキンケアエバンジェリスト、兼本です。

20代、肌荒れに悩んでいた私は、どうすれば肌を改善できるのかを真剣に考え、独学で学びながら自分なりのスキンケアメソッドを確立していきました。その学びを軸に起業し、自社商品を企画・開発。さらにスキンケア講座を通して、たくさんの方にその考え方を伝えるようになりました。

30代になったある日、ふと立ち寄った書店で、平積みされていた一冊の本が目にとまりました。

それが『エッセンシャル思考』。

何気なく手に取って目次を開いた瞬間、「これは私が大切にしてきた考え方と同じだ」と心が動いたのを今でも覚えています。読み進めるほどに、20代の頃に自分が肌と向き合い、余計なことを削ぎ落とし、本質だけを残していったスキンケアの考え方と、この本に書かれている“より少なく、しかしより良く”、“99％の無駄を捨て、1％に集中する方法”という思想が完全に一致していました。

つまり、私はスキンケアにおいて、すでに“エッセンシャル思考”を生きていたのです。

スキンケア以外での「迷い」との向き合い方

スキンケアでは迷わなくなった私も、人生のあらゆる場面ではいまだに迷うことがあります。

人間関係や仕事の選択、日々の暮らし方――。

人生とは、日々の決断の積み重ねであり、迷いはその一部なのだと思います。

けれど、迷ったときに立ち戻れる考え方がある。それが“エッセンシャル思考”であり、私にとっては心の支えのような存在です。この思考があることで、どんなときも「本当に大切なこと」に立ち返ることができます。

日常の中にある「エッセンシャル思考」

コロナ禍で、家で過ごす時間が増えたときのこと。

毎朝淹れるコーヒーを口にした瞬間、「お店で飲むより、家で飲む方が美味しい」と感じている自分に気づきました。

そして、“この豆に出会えていてよかった”と感謝の気持ちがふっと湧き上がったのです。

何でもいいわけではなく、「これがいい」と思えるものが自分の生活にあること。

しかも、その一杯を飲むたびに「最高！」と笑顔になれる。

――それは、まさに“エッセンシャル思考の豊かさ”そのものでした。

また、日常の中で使う調味料――お味噌やお醤油、お酢なども同じです。

私は長年使い続けているメーカーがあり、買い物をする時も迷うことがありません。決まっているからこそ、セールのときに＋1ストックで購入できて、ちょっと得した気分になれる。そんな小さな積み重ねにも心の余裕が生まれます。

こうした小さなカテゴリーの中で“迷いがない”というのは、とても大きな安心感やストレスフリー、さらには時間やお金の節約にもつながります。皆さんにもきっと、「これがないと落ち着かない」「ずっと使い続けている」そんなアイテムがあるのではないでしょうか。

それを“なぜ自分は選んでいるのか”まで理解できると、日常の満足度は格段に変わります。

今日のまとめ ― 迷わない自分を育てていく

私自身、スキンケア以外の分野ではまだまだ“迷う自分”がいます。

でも、その迷いを悪いこととは思いません。むしろ、「迷いながらも、立ち返れる軸を持っていること」が大切だと思うのです。

スキンケアで肌を整えるように、人生でも“選び、手放し、また選ぶ”を繰り返しながら、迷わない自分のカテゴリーを少しずつ増やしていく。それが、私の考える“エッセンシャル思考を生きる”ということです。

この連載を読んでくださった皆さまが、自分らしく整うヒントを一つでも受け取ってくださっていたら嬉しいです。

「エッセンシャル思考×スキンケア」全17回にお付き合いいただき、ありがとうございました。

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